当館では現在、企画展「花鳥風月展」【会期:3月28日(火)~7月2日(日)】を開催しています!

幕末土佐の天才絵師と言われた絵金は芝居絵だけでなく、植物や自然界の美しい景物も描いています。
本展では繊細で柔らかい筆致から、おどろおどろしいだけでない絵金の多彩な表現をご覧いただけます。
今回のブログでは本展で展示している襖絵「山荘秋景図」についてご紹介いたします。


須崎市の旧家の床の間に長年飾られていた襖絵です。
本作からは「源氏物語 宇治十帖〈橋姫〉」に描かれる、薫の君が晩秋の山荘に赴き美しい姫達と暮らす八の宮を訪ねる場面を思い起こさせるような、高貴な人の侘び住まいかの印象を受けます。繊細で柔らかい筆致からは、人物を描かずとも浮かぶ薫の君と八の宮の娘大君の二人の儚い恋の物語が感じられます。
あるいは、すだれの揺れている様に注目すると、万葉の女流歌人・額田王の歌「君待つと わが恋こひをれば わが屋戸やどの すだれ動かし 秋の風吹く(あなたをお待ちして恋しくしたっておりますと、私の家のすだれを動かして秋の風が吹いてきます)」や、百人一首にも選ばれている大納言経信の歌「夕されば門田の稲葉おとづれて 蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く(夕方になると、門前の他の稲葉に、さやさやと音を立てて、蘆〔葦〕葺きの仮屋に、秋風が吹きわたってくる)」のような、秋特有の人恋しさや淋しさを読み深めることもできます。
解釈は様々できますが、絵金の多彩な表現を伝える作品であることは間違いありません。
ぜひ実物をご覧ください!
◆企画展「花鳥風月展」
◆日 時
令和5年3月28日(火)~ 令和5年7月2日(日)
◆休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
◆観覧料
一般520円(470円)/高校生300円(250円)/小・中学生150円(100円)
*( )内は15名様以上の団体料金
*絵金蔵入館料のみで観覧可能
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