8月から開催している企画展

いきもの展・天高く馬肥ゆる秋  では
現在、【後期】の作品が展示されています。




今回のいきもの展では、絵金が描き残したたくさんの『いきものたち』のうち
『馬』という当時身近であったいきものにスポットを当てており


【前期】には、馬が描かれた白描 を展示しておりました。





風を感じて空を見上げるような親子の穏やかな様子を切り取った《 親子馬

二頭の若い馬が跳ねるように戯れる《 双馬

武将を乗せて雄々しくたてがみを逆立てて走る《「一の谷」の熊谷次郎直実 》



などなど、一様に馬の作品であっても
それぞれに描かれている様々な表情の馬をご覧いただきました。





 ▼【前期】の展示風景

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そして現在展示している【後期】の作品は、



1688年(元禄初年)創業、高知の老舗和菓子屋・西川屋さんがご所蔵の

屏風絵《 郭子儀図(かくしぎず)です。




 ▼ 郭子儀図の一部をちらり


郭子儀図_馬アップ





連銭葦毛(れんぜんあしげ)と呼ばれる
銭形の斑をもつ灰色の体毛(=葦毛)をした高貴な人に好まれた馬に乗る、

中国・唐の武将『郭子儀』を描いた作品です。



  ◆ 郭子儀  とは

  唐の時代の名将であり、李光弼(りこうひつ)とともに安史の乱を鎮圧、
  吐蕃(とばん)やウイグルなど西方からの異民族の侵入を防ぐなどの功績を挙げ、
  徳宗より尚父(しょうほ、父として尚ぶべき人という意)の号を賜りました。

  また、長生きをして多くの子どもや孫に恵まれたことにより「子孫繁栄」や
  「長寿」の象徴的な存在とされて、おめでたい画題として用いられています。






実はこの作品、絵金の作品ではありません


絵金の師である『前村洞和(まえむらとうわ)』に同じく学んだ

前村洞泉(まえむらとうせん)という絵金の兄弟子にあたる絵師の作品です。



洞泉は師の姓を引き継いで前村と称して活躍し、河田小龍などと親交があったとされます。
細密の密画を得意としていました。



写真からではなかなか見ることは難しいですが

本物の作品は、馬具の装飾や郭子儀並びにその他の人物の着物の柄まで
細かく、細か~く描き込まれています。






現在絵金蔵にて展示中ですので、ぜひご覧くださいね!


会期は以下の通りです。



いきもの展・天高く馬肥ゆる秋【後期】

2018年11月4日(日)まで

開館時間 9時~17時  ※入館締切は16時30分となります。




会期はあと少し!お待ちしております~ 




皆さまはもう行かれました?

高知城歴史博物館の現在の企画展
幕末維新 時代の群像展 ~土佐の社会と人物~




時代の群像展表

▶ 画像のアップはこちらをクリック


▶▶ 時代の群像展サイト(高知城歴史博物館公式HP内)






こちらには絵金の芝居絵屏風
蝶花形名歌島台 小坂部館(レプリカ)
展示されています。



『蝶花形名歌島台 小坂部館』は
絵金や絵金の弟子たちによってたくさん描かれました。

今でも多くの作品が県下各地で大切に受け継がれており、
描かれた当時、大いに人気を博していた芝居です。





実はこの作品、

土佐の戦国大名・長曾我部元親をモデルとした小坂部音近が登場し、
土佐物芝居のひとつとなっています。


絵金の代表作はいろいろとありますが
土佐とかかわりの深いこの作品は
まさに、時代の群像展 にぴったりの作品ですね!




職員も出張中の絵金さんの作品を見に行ってきましたよ。

幕末の土佐の各分野で活躍した先人たちの遺した様々な歴史資料たちをみていると
激動の幕末に思いを馳せるような感慨深い気持ちに…



激動の時代の余韻漂う、静かに動かない貴重な記録たち

ぜひ皆さまもご覧になってくださいね~!





企画展情報

幕末維新 時代の群像展 ~土佐の社会と人物~

会 期:9月14日(金)~11月26日(月) 
時 間:9時~18時(日曜日 8時~18時)※入館は30分前まで
休館日:なし
観覧料:700円(団体20名以上 560円)
    高知城とのセット券 890円
    ※高校生以下は無料
    ※高知県・高知市長寿手帳保持者は無料
    ※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、
     被爆者健康手帳保持者と介護者(1名)は無料
〇観覧券は当日のみ有効です。(年間観覧券は除く)

(高知県立高知城歴史博物館 公式HPより参照)






肌寒い日も増え、秋の訪れがより一層感じられるようになって参りました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?


さて絵金蔵ではこの
10月6日・7日・8日の3日間

絵金芝居絵屏風の応急修理が行われました

通常はクローズな空間で行われる作業なのですが
今回はなんと、『 公 開 修 理 』!!!
どうして公開するようになったかは、後ほど。



では少しだけ、当日の現場の様子をお見せいたします!

10月応急修理

とてつもなく繊細で集中力の必要な作業…
緊張感を漂わせながら、作業していらっしゃるのを見ていると、
こちらまで真剣な気持ちになります。




芝居絵屏風公開修理チラシ

さて、10月に見逃した方もまだ間に合います。

来月11月23日㈮・24日㈯・25日㈰にも、引き続き応急修理作業が行われます。
※時間帯によっては作業をしていない可能性があります。
※11月23日午前中は会場の設営作業が主となっています。
※11月25日は午前中のみ、主に作品の確認作業となります。作業終了次第、通常展示にもどります。









この度の作業は関係者の協力の下、
通常では非公開な応急修理作業を特別に公開することとなりました。




これは、絵金の芝居絵屏風を更なる傷みから守るために行われた
『あくまでも一時的な応急処置』であり、
劣化が進行している屏風の下地や、
祭りでの屋外展示の際の粉塵による汚れなどへは今回処置しておりません。

須留田八幡宮神祭・絵金祭りなどを代表とする絵金文化を次の世代に伝えていくためには
屏風の解体も含む本格修理を行っていく必要性があるのです。


絵金蔵で、収蔵している芝居絵屏風の応急修理を公開することで、
皆さまの文化財への関心を高め、
後世へ残すためには文化財修復が不可欠であることへの理解が深まることを願い、
そして、本格修理の必要性を皆さまに知っていいただければと思っております。



本格修理を応援いただくための「募金箱」も設置しておりますので
あたたかなご支援をどうかよろしくお願いいたします




何はともあれ、百聞は一見に如かず、と言われますので
この貴重な機会にぜひご覧ください!







それではここで先日の作業の様子を
皆様にも少し紹介させていただきます





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↑作業風景を見るお客様たち


作業場への落下物を防ぐため、皆さまには2階から作業場をご覧いただくこととなっておりました。
関係者の方以外は黄色い線内に入れませんでしたが、
もっとよく見ようと、中には座って見学なさる方も



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↑修理作業の風景

修理作業は主に
・はがれかけた絵具を膠(にかわ)と呼ばれる接着剤で再接着させる作業
・屏風絵の下地からはがれた紙の層を再接着させる作業
この2つが行われました。




細心の注意を払いながら行われる作業は、集中力との戦いでもあります。
一つ一つの技術にも驚かされましたが、何時間も集中を切らさずに修理を続ける修復師の皆さまを目にして
プロの仕事は本当にすごいと感じました。


職員たちも初めて間近で見にする作業に感心しきりの3日間となりました




11月にも公開で応急修理が行われますので、
お見逃しの方は、是非ともお越しくださいませ!!
お待ちしております!





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